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西田製紙所

Coporate Profille

 西田(にした)製紙所の代表である西田裕さんは、生まれ育った京都を離れ1993年から三隅町で石州和紙づくりに従事してきました。まだ39歳の若さですが20年近くのキャリアがあります。三隅町内の石州和紙の事業所の代表としては最年少です。原料の楮(こうぞ)づくりから紙すきにいたるまで、昔ながらの手作業で行っています。製品は書画用紙をはじめ多種多彩で「需要に応じて何でも手がける」のが基本方針。三隅町を中心とした職人でつくる石州半紙技術者会の会員であり、石州和紙伝統工芸士の一人です。

Story

 石州和紙の歴史は古く8世紀初頭に柿本人麻呂が石見の国に伝えた、との説もあり実に1300年近くの間、手すき和紙の伝統が守られてきました。地元で作られた楮を原料に、原料蒸し、原木そぎ、表皮を削る黒皮そぞり、紙漉きの代表的な工程である数子(かずし)、調子(ちょうし)、捨水(すてみず)、そして乾燥と、製品化に至るまでには長い工程を経なければなりません。今も残る事業所は古来の製法を守り、1967年には重要無形文化財、2009年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。

Interview

 父が京都で紙の加工業を営なみ、祖父も三隅町で紙すきに従事するなど「紙一家」でした。幼い頃から父の仕事を見て育ったので紙に関する仕事をしたいという思いがありました。そこで三隅町にIターンし叔母の事業所で修行しました。最盛期は100以上あった石州和紙の事業所は今では三隅町に4事業所ほど。特定の工程をマスターするだけならさほど時間はかからないが、全体の工程を把握して動けるようになるには数年かかるのではないか。生計を立てるのは大変だが、自分の心さえ折れなければ活路は開けると思っています。

Recommendation

 手すき和紙の流通形態は小売店ルートや加工業者向けなどまちまち。代表的な最終製品は半紙、はがき、色紙、短冊、名刺などでオリジナル製品はホームページでも販売しています。半紙は20枚入りで1680円と決して安くはありません。しかし「原木の栽培から紙すきに至る長い工程を知ってもらえれば納得してもらえるはず」と考えています。西田製紙所が手がけるサイズは100センチ×176センチが最大で障子や襖などに使われています。基本は受注生産で在庫は置いていないので、受注から納品まで1か月以上かかります。顧客の要望には必ず応えるのがポリシーで、変わった用途では石見神楽で使われる神楽面の素材としても納入しています。石見神楽は広島県の北西部でも受け継がれており広島にも顧客がおります。西田さんは自社の農地で楮の栽培も行っており、原料から製品まで全工程を一手に握っています。「楮を栽培し原料に加工し、紙すきに至るまで妥協できない工程ばかり」なので、やみくもに手を広げて「人任せにはしたくない」と、あくまでモノづくりが基盤と考えています。

西田(にした)製紙所

Nishita Seishisho

URL: http://nishita-seishisho.com/
住所: 島根県浜田市三隅町古市場1965-2



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