ReJAPON 日本語版・ 質が高い日本の伝統産業に、現代の感性を加え、新たな価値観を創出するReJAPONブランドを海外に向け発信します

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株式会社 五十崎社中

Coporate Profille

 和紙壁紙の製造販売を手掛ける五十崎社中は、2008年に大手通信会社に勤めていた齋藤宏之社長が設立しました。
 当時、内子町商工会が手すき和紙のブランド化を目指して、金属箔を使った芸術のギルディングとの融合を模索していたが、技術を習得する者や商品を販売する仕組みがありませんでした。齋藤社長は奥さんの出身地という縁からこうした状況を知り、もともと起業願望もあったことから起業を決意しました。その後ギルディングデザイナーの技術指導を2年間受け、10年春に和紙とギルディングを融合した商品を発表しました。

Story

 同社のある愛媛県喜多郡内子町・五十崎町周辺は、豊富な水と和紙の原料となるコウゾやミツマタが採れることから、古くから手すき和紙の生産で栄えていました。同地域は旧大洲藩だったことから大洲和紙として350年以上も受け継がれ、明治末期には400人を超える職人がいましたが、現在は数人しかおらず伝統産業の継承が課題となっていました。 
 危機感を持った内子町商工会は、06年から現在の住所表記に合わせて五十崎和紙としてブランド化を推進し、国内外へ積極的にPRを始めました。この取り組みはJAPANブランド育成支援事業に採択されました。

Interview

「自社だけがもうかっても意味がない」と、齋藤社長は伝統産業の復活には地域全体の活性化が重要と語っています。同社が使用する手すき和紙は、地元の和紙工場から仕入れています。同社の売り上げが増えれば、地元の和紙工場の売り上げ増にもつながる仕組みです。
 齋藤社長は「我々の取り組みによって雇用を創出できれば」と、伝統産業の担い手の誕生にも期待を寄せています。すでに和紙工場では手すき職人を目指す若者が就職するなど、新しい芽が生まれつつあります。

Recommendation

 同社の主力製品「ギルディングシリーズ」は、手すき和紙とギルディング加工を融合させた壁紙。ギルディング加工とは、金箔・銀箔・銅箔を使って紙や木、布の表面上にデザインを施す手法。金属を酸化させることで生み出される独特の風合いが特徴。デザインはギルディングの技術指導をしたフランス人芸術家のガボー・ウルヴィツキさんが、日本の伝統的な模様をベースに考案しました。 
 制作方法は、和紙の上に模様の型抜きがされた型紙を置き、独自開発したのりを塗ります。のりは型抜きされた部分に付着し、その上から金属箔を乗せると、和紙の表面に金属箔で模様が描かれる仕組みです。 
 同シリーズは壁紙として利用するほかに、パネルや額に入れて芸術作品として展示されたり、ふすまにも利用されています。またレターセットやブックカバーなどの小物アイテムの商品化にも取り組んでいます。 
 同社ではパリや上海、東京などの展示会に出展してPR活動を進めており、「欧州では人気がある」(齋藤社長)と海外への販路拡大に期待を寄せています。

株式会社 五十崎社中

Ikazaki Shachu inc.

URL: http://www.ikazaki.jp/
住所:【工房】 愛媛県喜多郡内子町五十崎甲927番地1



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